Concept of 白十字キリスト教社会主義研究会

本会は、キリスト教社会主義を中心として、政治・経済・文化に関する現代社会のさまざまな問題について考えていくための研究会です。





白十字キリスト教社会主義研究会(略称:白十字の会)は、二〇一五年一一月一日、万聖節(諸聖人の日)に設立された。

歴史的な文脈からみたキリスト教社会主義は、一九世紀における資本主義の広がりに対して、その矛盾を解消し、産業革命以後の労働者の権利を守るための運動としてはじまった。代表的指導者として、英国のラドローとモーリス、チャールズ・キングズリーがいる。日本においては、安部磯雄、片山潜、石川三四郎、木下尚江らの刊行した月刊紙『新紀元』をはじめ、賀川豊彦などの作家がキリスト教社会主義の立場を表明していた。さらに、近代日本を代表する独立伝道者の一人である内村鑑三もまた、当初はキリスト教社会主義に一定の理解をみせていた。『新紀元』第一号に寄稿された内村の文章には、「社会主義が暴徒の巣窟と成り了らんかを恐れたり」という一文がみられる。そこからは、キリスト教社会主義への理解とともに、唯物論的な社会主義に対する痛烈な批判を読み取ることができる。いわゆるマルクス派社会主義とは一線を画していたキリスト教社会主義に関する言説は、近代社会、とくに明治以降の日本の歩みを省察するにあたっての思想的な〈断面〉を示している。

いま、キリスト教社会主義を読みなおすことの意義は、政治・経済・文化をめぐる固定化された見方を相対化し、動的かつ複層的な視座、実践・行動に資する社会主義の理論を提示するところにある。さしあたっての目標として、上述のようなキリスト教社会主義の歴史の復習を通じて、近代以降の政治・経済理論の批判的考察を行うことにしたい。

(「白十字の会読書会 キリスト教社会主義×ヘーゲル左派の諸文献を再検討!!」、本会機関誌『基督教友愛新聞』創刊号より要約)